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ケーススタディ
自分の財産、会社の財産
まだまだ肌寒い某日。東京都内であるミュージシャンの友人の通夜に参列。高校の同級生でどうしても彼のお母さんと妹さんに会いたかったのだ。無事挨拶を済ませ帰路に着こうとしたところで、携帯電話がなった。ある上場企業の管理部門のマネージャーからで、相談があるという。
私から食事に誘うことはたびたびあるが、彼からの誘いは珍しいので何かあったのかと思い快諾した。幸いにして、彼のいる場所と通夜の会場が、近かったため30分後に出会いそのまま居酒屋へ。
乾杯後、彼は自分を落着けるようにゆっくり話しだした。勤務している会社の社長が変わり、前社長の否定から物事の発想が始まっているようで、現場が混乱しているという。
私は、謙虚で前向きな彼が愚痴るのだから、余程悩んでいるんだろうと察し、彼の思いを受け留めるように状況を一つ一つ聞いた。
彼はこの会社で続けて働いていていいのだろうか、というところまで考えていた。彼の周囲には、前職を辞めて起業し頑張っている先輩や友人、親戚が多く存在し、それも一因のようだった。何しろ私もそのうちの一人だから、すぐに相談したいと思ったのだろう。
私は話を聞いていて、「この組織にはもう魅力が無い」「居ても仕方が無い」という話は具体的理由と共に出てくるが、「今後どうありたい」という話は抽象的なイメージしか出てこないことに、“退職は急ぐことは無いのでは”という思いを強くした。
彼の勤務先は日本のある分野を支えてきた名門企業であることには間違いなく、今まで培った会社としての財産はたくさんあるはず。彼の仕事上の得意分野に関しては、自分の財産として身に付いているスキルや経験がたくさんあるだろうが、まだまだ会社の財産を熟知しているとは思えない。また外部との接点で、会社の魅力や自分の財産のレベルも客観的に理解できるものでもあるがまだまだ彼の行動範囲は狭いと感じた。
彼には、現職中だから出来ること・・・所属会社の看板で接することが出来る人、体感できるノウハウを享受した上で、自分の将来を具体的にイメージ出来た時に、再度飛び立ち方を考えましょう、と話しをして別れた。
彼から翌日メールがきた。現在の状況に悲観的にならず自分の将来像を構築のために、仮説を持って働いてみます、と。
次の相談はいつになるか、楽しみである。
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