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ケーススタディ

「書くこと」のすすめ

 大阪府の政令指定都市が運営する若年者の就職支援機関でSV(スーパー・バイザー)という職責についている。スーパー・バイザーというと聞こえはいいが、やっていることはすべての業務をまんべんなくこなしているよろずやのような存在である。

自己紹介しなければならない機会には、『スーパーは、なんでも安く売っているスーパーの意味で、バイザーは、スタッフが直射日光の危機にさらされないようにするための日よけです』とやや自嘲気味に話している。その業務の中に、相談員(カウンセラー)のケース指導というSV本来の仕事がある。 ここには毎日いろんな方が就職や転職に関する相談に来る。すんなり就職できるケースもあるが、就職活動を行なう以前の問題を抱えた人も少なくない。そのようなケースが多く続くとカウンセラー自身が疲弊してくる。そんなときにカウンセラーのカウンセリングを担当するのがSVの役割である。言い方を変えると、カウンセラーが直接対峙しているクライエントを間接的にカウンセリングしていることにもなる。その時に最も大切な事は『客観的な視点』である。直接カウンセリングをしているとどうしても相手の感情に巻き込まれたりカウンセラー自身の感情が動いたりしてついつい主観的になってしまう。これは何年カウンセリングの経験を積んでも克服しにくい課題でもある。

クライエントから直接話を聴くのではなく、カウンセラーの言葉から判断するこの過程は、冷静に客観的にクライエント像をイメージすることができる。最終的な正しい答えを提供するまでには至らないが、カウンセラー本人が気付かなかった視点に気付いてもらうことはできる。 この『客観的な視点』は就職活動をしている人にとっても実に重要なことだと思っている。最近私はセミナーや個別相談の場で『書く』という作業を推奨している。自分の行動や考え、抱いた感情、調べてわかったこと、面接を受けたあとの感想などを文字にして読んでみると自分を客観的に見ることができる。頭の中だけで考えると発想に広がりが生まれず堂々めぐりになり、同じ答えにしか辿り着かないことが多い。特に失業期間が長くなっていたり、ニート状態であったり、引きこもっていたりすると、なおさらそういう傾向に陥ってしまう。自分を客観視すると今まで思いつかなかった答えや方向性に気づくことが期待できる。

先日、私のもとに相談に来てくれている人に「書くこと」を勧め課題にしてみた。しばらくしてから感想を聞いてみると「自分のやったことを書いていくと日記みたいになった。ずっと家に居ると書くことがなくて困るので、書くことを作るために外に出るようになった」とのことだった。これは思わぬ副産物である。

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