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ニート支援を通じて
つい最近の新聞に“ニートには実は働く意欲がある”という記事があった。文部科学省生涯学習政策局の調査によるものらしいが、『何を今さら…』というのが正直な思いである。ニート支援の現場で仕事をする者として断言する。『ニートは働く意欲がないというのは間違い』である。むしろ彼(彼女)らは、『働きたい』『働かなくてはいけない』と思うからこそ悩み苦しみ、人と関わることも出来なくなってしまうのである。そして、その状況から抜け出すための具体的・現実的な方法が見つけられなくて時間が過ぎて行くうちに、社会に参加するためのきっかけを無くしてしまうのである。
もうひとつ付け加えておきたい事は、“ニート”とはあくまでも“状態”のことであり、本人の能力・性格・資質などには一切関係がない。
何らかのきっかけ(出来事)で一旦社会との接点を失ってしまっただけで、何かのきっかけさえあれば、仕事に就くことも出来るし、職業訓練を受けたり、就学することもできる状態にある。中には精神的に不安定な状態になっていて多少時間がかかるケースもあるが、特に重篤なケースを除けばそれほど大きな問題はない。
昨年の10月にニート支援の専門機関がスタートして4ヶ月が過ぎた。現在までの相談件数は既に400件を越え、筆者も100件ほどの相談業務を行った。就労・就学まで復帰できたケースは極々少数であるが、それでもわずかなきっかけで自分のやるべき事を見出し、自分で行動し始めたケースがある。
最初は父親に連れられて、ほとんど自分からは話ができなかったのに、2回目からは本人だけが継続して相談に来るようになり、色んな話をしているうちに、自分自身の少ない経験からではあるが、徐々に『出来そうな事』に気付き、ある日突然、相談の予約をキャンセルしたかと思うと一週間後にやってきて、『実はアルバイトに行っていて、先日は風邪を引いて相談に来れませんでした』という、予想外の進展に至ったケース。
あるいは、最初に母親と相談に来たが、本人と個別相談を繰り返すうちに『今の状態から抜け出すのに自分に必要なもの』がハッキリと分かり、それを得た事でどんどん自分のやりたい事が湧いてきて、目標に向かって寝る間がもったいないほど打ち込んでいて、先日久しぶりに会ったら、『誰だっけ?』と思うくらい見違えてしまうほど変化していたケースもある。来月には自分で探し当てた求人企業に応募することになっている。
このようなケースは稀ではあるが、何かのきっかけさえあれば、我々が考えている以上に本人が大きく変化することは十分に期待できる。
我々支援者が出来る事は、本人や家族に寄り添い、見守りながら、ささいなきっかけを提供することくらいしかない。しかし、本人や家族の力次第で、それはいくらでも大きなきっかけに変える事ができる。
本人や家族の変化を目の当たりにすることは、“人を支援する仕事”に携わっていて、もっとも報われる瞬間である。
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