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ケーススタディ

努力欲の先には

 35年以上流通業界で売場・店舗運営に携わり、所属していた企業の業績悪化に伴う早期退職希望者募集に応募したAさん。1年半前、私が講師をしていた再就職支援のセミナーを通じて知り合い、幾度となくメール交換をしながら、就職活動を支援してきた。
Aさんは50歳後半、住んでいる地域では経験分野である流通系の求人はほとんどないといってもいいくらい求職難な状況下であるにもかかわらず、職務経歴書作成を始め求人情報の収集など大変精力的に就職活動をしていた。

就職活動も3ヶ月を過ぎたあるとき、Aさんは自分の年齢で応募可能な求人を調べた際に、マンションの管理業務の求人が多いことに気が付いた、しかも経験者でなくても応募可能な求人が多いということに。
ただ給与は前職に比べ極端に下がり、生活に関しては以前に比べて楽に暮らせるとは言い難いことや、業務内容も結構体力を使い休日は変則になるということ、も事実であった。
元来前向きな方なので、Aさん本人は今後の住宅関連の可能性を考え、マンション管理業務への応募を決意、何社かトライし、そのうちの一社に契約社員という身分ながら入社が決まった。入社後も幾度となくメールを頂き、慣れないながら元気に働いている様子を知らせてくれていた。

そして1年経った先月、いつものように地元の景色を映した写真とともに届いたメールにはこう書いてあった。
「再就職して一年を迎えようとしています。仕事も自分に合っており、毎日が楽しく充実しています、一日十二時間も働く時も、土・日曜日に出勤することも有りますが、全て自分でスケジュール管理するため苦になりません。いまは今年の十二月のマンション管理業務主任試験に再挑戦するため、一日3時間学習に頑張っています。嬉しいことに今月から給与が三万円アップしました、これを原資に自己研鑽に投資したいと思っています。命ある限り挑戦して行きます!ではまた」

おそらく「仕事も自分に合っており」は今だからこそいえる表現で、実は業務を覚える為にひたすら努力した結果、好きになったんだろうと、彼の入社後の苦労を知っている私は思う。そして彼のひたむきな姿が3万円の昇給を産んだと思うし、さらにまだまだ次を狙っている彼の姿勢には頭が下がる。
彼のメールを読み終えた瞬間、彼の活躍を喜ぶ気持ちが湧いてきたのと同時に、やりたいこともわからず、それを見つけるための努力もせず、現状をぼやきながら働いている人やフリーターに、Aさんの爪の垢でも煎じて飲ませてやりたい・・・と思わずつぶやいてしまった私であった。

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