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ケーススタディ

変わらなければならないもの、変えてはならないもの

 私は神戸のあるカットハウスに通い始めてもうかれこれ25年になる。19歳~現在に至るまで、ずっと同じお店の同じマスターに散髪してもらっている。

そのマスターは最盛期には何店舗も経営し業界では相当有名だったようだが10年ほど前から一店舗に絞り、義理の息子さん奥さんと共に身の丈で運営している。もう60歳を超えている。昔からのファンも多くわざわざ他府県から車で通う人もいるとか。やはりマスターの技術力と人柄に起因するところが大きいが、彼と会話しているとあることに気が付いた。
本人は意識しているかどうかは定かではないが「変わらなければいけないもの」「変えてはならないもの」をしっかりと押さえて仕事をしているように見える。

「変わらなければならないもの」。常に流行を勉強しようとする姿勢。ファッション雑誌やテレビ等の媒体はもちろんのこと、休みの日に街を歩いたり車で移動中も街並みをよく観察している。そのことが頻繁に会話に出てくるのだが、その観察力に感心させられることが度々である。その情報と若い頃から培った独特の感性でお客様の髪の毛の質・クセ、希望、職業等に合わせて髪型を変化させていくのである。
「変えてはいけないもの」。サービス業に携わっているという基本姿勢。今まで育てた弟子は何十人もいるのだが偉ぶる素振りもなく、いつもきれいにクリーニングされたシャツを着て、お客様を名前で呼ぶ。お客様にとってとても心地がいい接し方なのだ。

この二つの姿勢はわれわれビジネスマンにも大変参考になる。
つい最近、キャリア研修を某企業の30代~40代の社員に行ったのだが、自社を取り巻く環境の変化に注目していない人が多いことに驚いた。忙しい毎日の業務運営に忙殺されて、世の中の変化にも気づかず、なぜ会社がこういう戦略に出ているのか、ということを理解しないまま業務を行っているのだ。そうなると業務というより作業かもしれない。当然作業工程は覚えても技術・スキルは身に付かない・・・。
変化を感じることで、自己を磨いていく方向性や意味を客観的に捉えることができるようになっていくのだ。
「そういえば余り気にしていなかった」とか「自分は変化への感度は鈍いかも」と感じるあなた、まずは通勤の道すがら街や人を観察してみては如何?

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